日本の皆様へ
ミャンマーよもやまばなし
2020年11月30日
第5回 ミャンマーでの事業活動と弊社のミャンマー人材
中桐 康隆株式会社トスコ
トスコのミャンマーでの事業活動
当社、株式会社トスコは岡山に本社を置く創業から45年を超える中堅IT企業です。東京に支社、名古屋に事業所があり、現在、社員数約490名のうち、48名のミャンマー人が正社員として、日本で働いています。
日本は2008年の1億2808万人をピークに、人口減少の一途をたどっています。その影響でIT産業の人材採用はどんどん難しくなっています。それでもITビジネスは増加する一方です。特に当社のようなソフト開発を事業の中心におく中堅のIT企業は、優秀なIT人材が事業成功のカギを握っているにも関わらす、その確保は極めて難しい状況になっています。そこで当社は2015年からミャンマー人の採用をはじめました。ミャンマーの技術系の大学を卒業した人材を現地で採用し、日本語教育や基礎的なIT教育を行った後、日本でソフト開発の業務が行えるだけの日本語能力を身に着けた社員を、高度IT人材として日本で受入れ、当社の正社員として採用しています。もちろん、待遇は日本人社員と何も変わりません。
2019年10月にはミャンマーに現地法人も立ち上げ、毎年20名の新卒学生を日本での就労を前提として採用しています。現在も39名の現地法人社員が日本での就労を目指して、日本語やITのトレーニングを受けています。当社がミャンマーに法人を立ち上げたのは、ミャンマー人の採用活動を始めて5年が経過し、日本にいるミャンマー人社員たちが、帰国してもトスコで働ける環境を提供できるようにすることが、現地法人を作った理由のひとつです。
現地法人のオフィスはヤンゴンとマンダレーにあります。現地法人では、オフショアー開発、当社ITプロダクトのミャンマーでの外販、日本語教育の外販など幅広い事業展開を目指し、現在20名のミャンマー人スタッフが勤務しています。
TOSCO Myanmar ヤンゴンオフィス風景
なぜミャンマーなのか
ミャンマーでは年間1万人ほどIT専攻の学生が卒業しますが、ミャンマーにはITの知識を生かして働ける場所がまだまだ少ない状況です。そういう事情もあり、大学で学んだIT知識や技術を日本企業で活かしたいという熱意に溢れた学生が多くいます。最先端のIT技術開発に欠かせない英語が堪能な学生が日本人より多いのも、当社がミャンマーを選んだ理由のひとつです。
ミャンマービジネス成功のポイントはコミュニケーション
日本で働きたいというモチベーションがあっても、十分な日本語能力がないと日本人上司に本心から質問できないといった問題が出てきます。こうなるとお互いにビジネスでわだかまりができてしまいます。ミャンマーで採用した人材は、来日前に日本語の研修を徹底的に行い、ビジネスレベルに達した社員だけが日本で働けます。まだ日本語が不十分だと判断した社員はミャンマーで再度教育を行い、次回の日本行きを目指します。
また、日本人の社員がミャンマー人の価値観や気質を理解することも重要です。ミャンマー人は、家族や宗教が生活や人生の中心にあり、時に仕事より家族との食事を優先させることもあります。彼らの価値観を尊重した上で、お互いに話し合い、ビジネスの納期や質を守ることは日本において非常に大切なことなのだと理解してもらうようにしています。
経費を抑える目的だけで人件費が安い海外にリソースを求める企業もたくさんありますが、当社は、お互いの価値観を認め合うコミュニケーションこそが、ミャンマービジネスを成功させるカギだと考えます。
現在新型コロナウィルスの影響で、日本とミャンマーの人の往来は制限されていますが、現地メンバーとのコミュニケーションは、Webミーティングなどを活用し常に密に連携しています。
本社新人研修風景
ガバリビーチへの社員旅行