Laguage

Study in Japan Global Network Project in ASEAN

日本の皆様へ

ミャンマーよもやまばなし

2021年03月25日

第12回 コロナ禍での留学相談(2020年4月から2021年1月まで)

日本留学海外拠点連携推進事業(東南アジア)ミャンマー事務所

 みなさま、こんにちは。日本留学海外拠点連携推進事業(東南アジア)ミャンマー事務所です。当拠点事務所は2015年に本事業(2015年当時は旧文部科学省留学コーディネーター配置事業(ミャンマー)、2018年に現在の事業名に名称変更)の現地拠点として開設され、現在は、国際交流基金ヤンゴン日本文化センターと同じ建物に入るヤンゴン事務所と、JICA日本センターマンダレー支部が所在するMABAビルに入るマンダレー事務所で日本留学促進活動を展開してきました。ミャンマーの若者にとって、日本留学について公的な情報が何でも手に入る・相談できる情報拠点になるよう努めております。


 これまで、「ミャンマーよもやまばなし」を執筆してくださった先生方の情報にあるように、ミャンマーの方々は、昔から日本に興味を持ち、日本での留学や就職に関心を持ってくださっています。ミャンマーから日本の高等教育機関への留学生数は、2015年は2,755人(内、日本語学校1,103人)であったものから、2019年には5,152人(内、日本語学校1,630人)と増えました。今までの変遷の中で、日本へ留学する形態も徐々に変わってきていました。ひと昔前に日本へ留学をした層は、ミャンマーの大学を卒業後、もしくは中退し、そこから日本語学校へ留学、アルバイトをしながら学費・生活費を工面し、大学学部や専門学校へ進学するパターン、もしくは、行政官や大学教員当公務員の方々が日本政府文部科学省の国費奨学金を得て留学、というパターンが多かったかと思います。最近は、特にミャンマーが2011年に文民政権になり、2015年に民主派政権になって以降、様々なパターンが増えてきています。日本語学校からの進学組、行政官の日本政府奨学金での留学層に加え、ミャンマーの大学を卒業して、日本の大学院へ進学する人、ミャンマーのインターナショナルスクールを卒業して日本の大学へ進学する人、ミャンマーで社会人を数年経た後、日本の大学院へ行く人、ミャンマーの大学と日本の大学が協定を結び短期から1年留学する人、など留学が昔と比べて多様化し機会も増えてきていました。日本の教育への期待、留学後の就職機会、日本語・日本文化への関心層に加え、外国留学を希望する中から、地理や経済的に日本を選ぶ層も存在しています。

 2020年4月から現在まで、COVID-19の世界的な感染拡大に伴うミャンマー政府の制限措置において、拠点事務所の活動としても、教育機関への訪問ができなくなり、日々の日本留学相談や日本留学フェアやセミナー、学生交流会などのイベントは実施を全てオンラインに切り替えて活動してきました。

 日本留学相談については、コロナ禍となり、人の移動が制限される中、「留学」希望者が減るのではと当初懸念しましたが、SNSを使ったオンライン相談受付に切り替えたところ、事務所へ直接赴かなくても、オンラインで相談できるためアクセスしやすくなったということからか、例年以上の相談件数を多く受けました。コロナ禍においては、「この時期に日本留学の準備をしよう」と掲げて多くの留学希望者の相談を行いました。

 ここで、2020年4月から2021年1月までの日本留学相談者アンケート結果をご紹介いたします。

 留学相談者は合計725名おり、昨年度の同時期526名より1.37倍増加しました。コロナ禍前は、わざわざ事務所に相談へ来た学生といえば、真剣に日本留学を考える層が大半でしたが、オンライン相談の場合は、ステイホーム中にネット上で日本留学の情報に触れ、軽い関心から相談した層が増え、また、コロナ禍でオンラインによる情報収集に割ける時間や手段が増えたからか、外国へ留学したい、と考える層も増えた印象です。

 相談者は7割弱が女性(グラフ①)、年齢層は「大学学部生」に当たる「17歳~21歳」が最も多く、昨年度と同様でした(グラフ②③)。セーダン試験(高校卒業試験兼大学入学試験)を受けて大学進学を待つ高校卒業生やインターナショナルスクール生、私立カレッジ生も昨年より増えました。


 留学希望課程は、「修士課程」42%、「大学学部」40%の2つの課程が多く、続いて「専門学校」、「日本語学校」の順でした(グラフ④)。

 留学希望分野は、「工学系」、「経済・経営系」、「IT」、「医学系」、「日本語」の順に多く、就職で実務に直接結びつくような分野が人気です(グラフ⑤)。


 相談内容は、「奨学金」が最も多く、続いて、「大学」が多い結果でした(グラフ⑥)。

 奨学金について「全額奨学金が必要」と回答した相談者が八割強おり、昨年度六割より増え、一方で、「少額の奨学金が必要」「奨学金不要」と回答する者が16%で、昨年の三割より減っています。これには、本年度増えた“軽い関心から相談した”オンライン相談者層が「全額奨学金がもらえるなら」と考えていることや、全体的にコロナ禍で経済が低迷し、特に自営業の家族を持つ層は、経済的に苦境で、家族の支援を見込めないことが背景にあるようです。

 また、現地事務所相談員によると、昔は日本でアルバイトをしながら学費・生活費全額を工面し、留学するという考え方も多かったようですが、最近は当拠点事務所や日本留学経験者のSNSでもアルバイト就業時間問題などの情報が共有され、“学生ビザでは週28時間まで”という制限があるアルバイトだけでは全留学費用を賄うことはできない、奨学金が獲得できれば安心である、という考え方が広まっているということも聞いています。奨学金は以前に比べ多種多様となり、数も増え、特に一部奨学金が充実してきております。ただ、学費・生活費が賄える全額奨学金がなければ留学が難しい、ということもありません。

 例えば、留学初年度の費用のために家族の支援や貯蓄で留学し、渡日後、一部奨学金を獲得、学費半額免除を受け、適度な時間でのアルバイト収入をもって留学を実現する留学生も年々増えております。我々の事業ではそれらの情報も留学希望者へ提供し、より実現性を高めていく活動を行っております。


 日本語能力について、2020年度7月・1月の日本語能力検定試験(JLPT)が中止となり、相談学生の正確なレベルを計ることはできませんが、4割強が未受験、14%がN3保持者、14%がN2保持者でした(グラフ⑨)。

 英語能力(TOEFLなど受験者が少ない為、成績などの自己判断)は、上級者、中級者と見なす者が多い結果でした(グラフ⑩)。日本語学習者数やレベルは毎年上がってきておりますが、一方で、英語で学位が取れるコースへの留学希望も高いです。


 ミャンマーの拠点事務所である岡山大学日本留学情報センター(OJEIC)をどこで知ったかという質問には、「Facebook」が73%で最も多く、次にセミナー18%でした。本年度はほぼオンラインのみでの広報となっており、例年より更に割合が増えています。広報としてはFacebookを最も活用しています(グラフ⑪)。

 留学後の進路希望については、集計をした下半期値(10月~1月)によると62%が日本での就職を希望しています。(グラフ⑩)。本年度はSNSやHPでの就職情報に加え、元日本留学生の経験談セミナー開催など、日本留学のみならず就職情報を提供してきましたが、就職情報は今後ますます求められるでしょう。


 以上、コロナ禍で2021年1月までの日本留学相談者の状況です。2021年2月以降ミャンマー情勢の急変で、現地が大変心配されます。一刻も早く、以前のように安全な社会に戻ることを祈るばかりです。

 日本留学海外拠点連携推進事業では、ミャンマーをはじめ、カンボジア、ラオス、その他東南アジア向けに日本留学推進活動を展開しております。2020年のコロナ禍から、特にオンラインでの日本留学セミナー開催へも注力しております。東南アジアからの留学生獲得に向けて、東南アジアへのリクルートを強化されている日本の大学のみなさま、セミナー共催などぜひご相談ください。

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